自治体の優れた広報紙を表彰する「全国広報コンクール」(日本広報協会主催)で、ひたちなか市が広報写真「組み写真部」の1位に当たる特選になり、総務大臣賞に選ばれた。昨年8月の同市を代表する三つの夏祭りに参加する市民の笑顔や躍動感あふれる姿を表現した。撮影者の1人で、市広報広聴課の菊本翔平さん(31)は「受賞は取材撮影に協力してもらった市民の皆さんのおかげ。感謝しかない」と喜んだ。
受賞作品は「市報ひたちなか」の昨年9月25日号。「ふるさとの祭り」と題し、見開き2ページで6年に1度開催時期がそろった平磯町三社祭とみなと八朔まつり、ひたちなか祭りを特集。力強くみこしを担ぐ男たちや、祭りのイベントを楽しむ子どもらの笑顔など計13枚の写真で紹介した。
撮影したのは菊本さんと長崎麗子さん(27)。菊本さんは「市民のさまざまな表情を撮影できた。最高の出来」と喜んだ。
心掛けたのは市民の思いを反映すること。「行政からの一方的な発信にならないように」(同課)という市報の製作方針から、祭りの主催者に何度も話を聞いた。
祭りの歴史やその意味を聞きながら、伝統を後世に伝えたい熱意はもちろん、地域の結束、家族の集い、友人との再会を促す場にしたいという思いを聞くうち、「何とかその思いに応えたい気持ちが強くなった。いい写真を撮ろうと気合が入った」と振り返る。
みなと八朔まつりでは、みこしを海中で洗い清める「お浜入り」の瞬間を撮るため、朝5時に場所取りし、水しぶきを浴びながらシャッターを切り続けた。ひたちなか祭りで約1500人が参加した「素敵な明日のダンスパレード」では、楽しく踊る女性たちの笑顔を収めた。
三つの祭りで撮影した写真は7千枚以上。全体の構図は写真の内容や色のバランスなどに配慮しながら20回以上校正した。
菊本さんは「今後も市民の皆さんと一緒に市の大切にしているものや思いを伝え、毎号楽しみにしてもらえる広報紙にしたい」と意気込んだ。
同コンクール入賞は3年連続で、1位に当たる特選・総務大臣賞は初。市報ひたちなかの創刊は、旧勝田市と旧那珂湊市が合併して同市になった1994年12月25日号で、月2回発行する。同課の斉藤新課長は「受賞しても変わらず、市民とのコミュニケーションを大事にしたい」と話した。
茨城新聞社
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