【ドバイ=岐部秀光】サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは17日、12月に予定する新規株式公開(IPO)の売り出し規模と目標価格帯を発表した。株式の1.5%を国内で売り出し、最大で256億ドル(約2.8兆円)を調達する。2014年の中国アリババグループが調達した250億ドルを超す「史上最大のIPO」をめざす。
調達した資金は、実力者ムハンマド皇太子が旗振り役である石油に頼らないサウジの改革の資金とする計画だ。
アラムコは17日、IPOの購入希望の受け付けを正式に始めた。アラムコが設定した目標株価は30~32サウジリヤル(約8~8.53ドル)。発行済み株式数2千億株をかけると、企業価値は1.6兆~1.7兆ドルと、時価総額1兆ドル超えの米国のアップルやマイクロソフトを上回り、世界最大となる見通し。
世界最大の石油会社アラムコは18年に米アップルの倍近い1111億ドルの純利益をあげた。しかし、原油価格の低迷や中東の地政学リスクを背景に、市場ではアラムコの価値に厳しい見方も根強い。アラムコは皇太子がこれまで主張してきた「2兆ドル」に届かないことを初めて認めた格好だ。
調達資金は、インフラ整備や教育資金にあてるほか、政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が内外の市場に投資してリターンを将来世代のために活用する。PIFはソフトバンクグループが創設した「ビジョン・ファンド」に出資している。
サウジ人やサウジに居住する外国人投資家は11月28日までに購入の申し込みをする。内外の機関投資家向けの販売活動も17日に正式に始まった。全体の応募の締め切りは12月4日。アラムコは12月5日に最終的な売り出し価格を発表する。
サウジはアラムコのIPOを2段階で実施する。国内の証券取引所タダウルへの上場を先行させ、20年以降に海外市場でのIPOに踏み切る。発行済みの無額面、議決権付き普通株2千億株の5%を内外で公開する計画。個人として株式を買うことができるのは、サウジ人のほかサウジに居住する外国人ら。
2019-11-17 09:50:21Z
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