ウイルス退散の願いも込め、神社の春祭り開きます―。広島県大竹市元町の疫（やく）神社は15日、新型コロナウイルスの感染が拡大する中でも、恒例の祭りを開く方向で、地元住民たちと準備を進めている。江戸時代に流行した病を鎮めるため建立された由来も踏まえた判断。対策を入念にした上で実施する構えだ。
春祭りは、神事のほか、奉納神楽や菓子配りなどがある地域の伝統行事。毎年、市内や近隣に暮らす地元出身の親子連れたちが顔を見せるなどしてにぎわう。祭りの世話役を長く務める近くの中村延寿さん（65）は「病や感染症を振り払うよう祈願する神社でもある。地元一丸でウイルスを鎮めようという気持ちも含め、対策をしながら開こうという話になった」と説明する。13人いる世話人の意見が一致したという。
屋外での開催だが、感染防止対策には細心の注意を払う構えでいる。来場者にはマスクの着用を求め、用意するアルコール消毒のこまめな使用を促す。神楽は、できるだけ間隔を取って鑑賞するように呼び掛けることを検討している。出店はない。祭りは午後1～4時の開催で、神楽に先立って午前11時からは宮司が新型コロナウイルスの沈静化を祈る神事を開く。
神社があるのは広島、山口の県境近くの地区で、両県で感染者が確認されていることを踏まえ、感染の広がりなど次第では中止も念頭に置く。中村さんは「春の訪れを祝う伝統行事でもあり、できれば神社を誇りとする地元の心意気を大切に開きたい」としている。
国が2月末に示した対策の基本方針によると、外出などに当たっては、手洗いやせきエチケットなどを徹底し、「風邪の症状があれば外出を控えてほしい」としている。
中国新聞社
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