化粧品各社が、容器の環境負荷低減に力を入れている。資生堂は、化学大手と使用済み容器を再生して新たな容器を作る取り組みを始める。容器への再生ではコーセーと花王が協力する方針で、業界内の連携も進みつつある。企業の社会的責任に加えて、環境に対する消費者の関心が高まっていることも後押しとなり、各社とも課題だった容器のエコ化と本格的に向き合い始めた。
資生堂の取り組みには、積水化学工業と住友化学が参画する。店頭などで使用済み容器を回収する仕組みを資生堂が構築。積水化学と住化の技術で回収容器を容器原料に再生する。
積水化学は、回収容器を可燃ごみとともに一酸化炭素と水素にガス化した後、微生物を用いてエタノールを製造する。住化はそれを基に容器原料のポリオレフィン樹脂を作る。従来のリサイクルと違い、石油由来のポリオレフィンと同等の品質を確保できるという。資生堂はこの再生ポリオレフィンで作った容器を、令和7年以降の商品に採用する予定だ。
化粧品の容器は中身の保護や使いやすさ、デザイン性などが重視されるため、さまざまな樹脂を組み合わせている。このため分別が難しく、再生容器の普及を阻む要因の一つとなってきたが、分別が不要な積水化学の技術などで克服したい考えだ。
資生堂は14日に開催した主力ブランド「エリクシール」の説明会でも、CO2排出量を本体ボトルに比べて85%減らせる詰め替え用の拡販に取り組んでいることを商品刷新などとともに説明。冨田千晶グローバルプレミアムブランド本部長は「(脱炭素化の進展で)2020年以降、エコへの意識が消費者の間で高まっている」と話した。
容器のエコ化には他社も取り組んでいる。コーセーはバイオマス(生物資源)から作ったポリプロピレン(PP)を、主力ブランド「雪肌精」で12月に発売するスキンケアクリームの容器原料に一部採用する。
「マスバランス方式」と呼ぶ手法を活用。実際には石油由来の原料と混ぜて作ったPPでも、同社の調達分は100%バイオ由来とみなせる。同社は調達が比較的容易でもあるこのバイオマスPPをクリームの容器内側に使うほか、雪肌精の他の商品にも展開していく考えだ。
一方、コーセーは花王と幅広い分野で協力。使用済み容器の容器への再生を目指す花王の取り組みに合流する方向で検討している。
業界では、ほかにもポーラ・オルビスホールディングス(HD)が、傘下の自然派化粧品「ジュリーク」でこのほど発売した4商品について、容器や包装材の最大94%を再生可能な素材にした。ファンケルは、PET樹脂製容器の再生素材への切り替えを推進。来年3月までに、ほぼ全量を化学的処理で再生したPET樹脂に変える方針だ。(井田通人)
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