性別にとらわれない「ジェンダーレス」の動きが、化粧品にも広がっている。見えてくるのは、旧来の価値観に縛られない若い世代の姿だ。
大阪市北区の梅田ロフトでは、数年前から男性客が化粧品売り場を訪れるのが珍しくなくなったという。
陳列棚には男女のモデルを起用したパネル。会社員山村幸輝さん(24)は、カラーリップを手に取った。
「化粧は気分が上がる」。愛用していたヘアワックスの販売会社が男性用化粧品を売り出したのを機に、2年ほど前から肌のシミやくまを覆うコンシーラーなどを使い始めた。
女性向けリップを使う同性の友人もいるといい、「化粧でなりたい自分になれる。化粧は女性のものという価値観って、もう古いと思う」と話した。
ロフト広報室によると、一昨年の春ごろから「ジェンダーレス」をうたう海外商品が店頭に並び始めた。全国で開くコスメフェアでは、タイトルに「for MEN」と入れていたが、昨春からは「2nd(セカンド)」などの表記に変えた。
広報室長の池田晶子さん(60)は「若い世代は枠にとらわれず、自分に合う良いものを使いたいという意識がある。女性が男性向けを選んだり、男性が女性の口コミを参考にしたりもしています」。
「指輪の感覚」で楽しむ男性たち
化粧品販売会社のコティスエルト(東京)はホームページにこう掲げる。「全ての人にメイクアップの選択肢を!」
昨年3月以降、性別を限定しないブランド「iLLO(アイロ)」から全12色のネイルポリッシュを発売した。黒が基調のシンプルな包装のアイブローなど、これで展開商品は4種に増えた。
「男性たちは指輪をつける感覚でカラーネイルを楽しんでいる」と代表取締役の矢野亜也那さん(29)。ジェンダーレスを志向したのは、美容メーカーに勤めていた時だ。
当時の担当はコスプレイヤー…
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