生成人工知能(AI)の利用によって大きく変わりそうな業界の一つは、化粧品だ。ファッションと並んで人々の注目度が高く、しかも色、形などのわかりやすい要素だけでなく、雰囲気や季節感といった内面化された要素も多く含む。この業界で生成AIがどのように使われているのか。
化粧品向けの生成AIはかなり幅広い利用がある。その中で予想を超えていたのはスキンケアの結果を画像で見せてくれるという仕組みだ。それがChat(チャット)GPTならぬ、「Skin(スキン)GPT」という生成AIを開発したHaut.AI(ハウトAI)のサービスだ。
ユーザーが顔写真を撮影するだけで肌の状態が分析され、お薦めのスキンケア商品を表示する。さらにそれを使った後の結果まで見せてくれる。
その肌の分析の精密さが想像を超えていた。肌年齢、たるみ、シワ、乾燥など外面的な分析はもちろんのこと、皮膚表面のバクテリア量を認識し、色素沈着、コラーゲンの量、血管など皮下の状態まで分析する。 これにユーザーの食生活や生活習慣、皮膚科学の見識を統合させる。それを化粧品の成分と照合して、ユーザー個人に合った商品を提示し、これらを使った効果をバーチャルに表示するという流れだ。
これは企業向けに提供されるプラットフォームで、本当にその通りの結果が出るのかはユーザー個人のケースにもよるだろうが、かなり説得力のあるセールスツールと見える。スマホで顔写真を撮るだけでここまでわかるのかと感心する。
「バーチャル・トライオン」と呼ばれる、メーキャップを試用した画像を見せてくれる仕組みもますます高度になっている。スマホで撮った自分の顔にアイシャドーや口紅などのメークアップを仮想的に施して、似合うかどうかを確かめられるものだ。
よく知られている米パーフェクトコープのプラットフォームでは、かなりリアルに近い試用結果が見られるのだが、先ごろ大手小売りチェーンのウォルマートと提携して同社のショッピングアプリにこの仕組みを統合した。1400品もの化粧品のバーチャルでの試着が可能になっている。
パーフェクトコープはヘアスタイルやアクセサリーのバーチャル試着のサービスも提供しており、バーチャルビューティーの領域は拡大する一方だ。
香水でのAI利用にも興味深いものがある。例えば、粒子レベルに匂いを分解してマップ化し、それを再構成して新しい香水を作る取り組みや、特定の色や画像に人がどんな感情を喚起されるかに呼応した香水作りが試されている。
すでに一部の店頭では、客がヘッドセットを装着し、脳波の反応によってその人に合った商品が選べる仕組みなどが見られる。考えてみれば、もっとも把握しにくい嗅覚は生成AIの活躍の舞台となるのではないだろうか。
化粧品メーカーでは消費者の動向の分析や新商品のアイデアづくり、そして開発の効率化での生成AI利用が進んでいるようだ。生成AI自体の発展もすごいが、それをどう応用できるかを考える人間の知恵にも驚嘆するばかりだ。
[日経MJ2023年11月12日付]
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