日本銀行の黒田東彦総裁は24日、大阪市内で講演し、欧米の中央銀行が金融緩和の強化に踏み切ったことについて、先行きリスクに対して予防的・保険的な対応を意識しているのは「日本銀行も同様のスタンスにある」と追加緩和も辞さない姿勢を示した。一方、低金利の長期化が金融仲介・市場機能に与える悪影響を踏まえ、「政策コストにも一段と留意が必要」との認識を示した。
黒田総裁は、日銀が重視する物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)は「今のところ維持されている」としながらも、海外経済の下振れリスクが高まっている中で「海外経済を起点とした経済の下振れが物価にまで波及するリスクには、より注意が必要な状況」と警戒。特に注意が必要なのは「需給ギャップの動向」と語った。
こうした「世界経済減速の長期化と不確実性の高まり」を背景に、今月に入って欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備制度理事会(FRB)が相次いで金融緩和を強化したが、総裁は「わが国も共通して直面する要素がある」と指摘した。
日銀は19日の金融政策決定会合で、経済・物価見通しを作成する10月の次回会合において「経済・物価動向を改めて点検していく」との方針を決めた。総裁は次回会合での再点検について「さまざまな経済指標や支店長会議での報告、金融市場の動向なども踏まえて、幅広い観点から点検する」とし、状況が目まぐるしく変化する中で「点検結果について、現時点では予断を持っていない」と語った。
その上で総裁は、今後の金融政策運営について「柔軟な対応が可能で、持続性の高い、現在の枠組みが今後も前提になる」と説明。追加緩和の具体的な選択肢として長短金利の引き下げや資産買い入れの拡大などを改めて示し、「これらの組み合わせや応用といったことも考えられる」と語った。
一方、2016年9月の「総括的な検証」の結論は「現時点でも妥当する」とし、イールドカーブが経済・物価に与える影響について「超長期金利が過度に低下すれば、保険や年金などの運用利回りが低下し、マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある」と改めて指摘した。
(黒田総裁の発言内容を追加して更新しました)
2019-09-24 06:22:00Z
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-09-24/PYB90QDWLU6G01
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