【ロンドン=佐竹実】英国の大手旅行会社トーマス・クック・グループは23日、ロンドンの裁判所に破産を申請した。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感などから業績が悪化、必要な資金を調達できなかった。傘下の航空会社も含めて全ての営業を停止した。同社のツアーで海外にいる15万人は、政府と協力して数週間以内に帰国させる手続きを取る。
英メディアによると、経営難に陥った同社は8月、主要株主でもある中国の投資会社、復星集団などから9億ポンド(約1200億円)の資金調達を確保した。だが事業継続を不安視する取引先金融機関などは追加で2億ポンドの資金調達を要求。これに応じることができなかった。
トーマス・クックは業績悪化の理由について、英国のEU離脱に伴う不透明感で海外旅行を手控える傾向が続いていることを挙げた。大陸欧州での記録的な熱波や、格安なオンライン旅行会社の普及なども背景にあるという。英BBCは、ネットの普及により多くの旅行者が代理店に頼らずに自分で旅行を計画していると分析した。
180年近い歴史を持つ同社は、世界初の旅行会社とされ、団体旅行やパッケージ旅行、旅行者小切手(トラベラーズチェック)などの草分け的な存在として知られる。航空会社のほか、ホテルやリゾートなども各地で展開している。
2019-09-23 09:16:30Z
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50113150T20C19A9FF8000/
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