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社説(1/29):文化財防火/住民の協力で対策の深化を - 河北新報

社説

文化財防火/住民の協力で対策の深化を

 東北各地で文化財防火デー(26日)に前後して防火訓練が展開された。昨年10月31日の那覇市の世界遺産・首里城火災から3カ月。地域の象徴で、住民にとって精神的支柱といえる貴重な建造物が失われた。昨年4月にはパリの世界遺産・ノートルダム寺院も火災に遭い、木造の尖塔(せんとう)が崩れ落ちた。
 日本の文化財建造物は木造が多い。火災との幾多の闘いを経て、現代に継承を委ねられた。首里城の悲劇を繰り返さないよう知恵と努力を集め、遺産を次世代に渡したい。
 人口減少と高齢化が進み、文化財を守るのが難しくなっている地域もある。住民との連携を強める取り組みを進めるべきだろう。
 首里城は正殿のほか、隣接する北殿や南殿も次々焼失した。出火元は正殿1階の電気系統が濃厚とみられている。首里城は宿泊などは想定されておらず、消防法で定められたスプリンクラーの設置は義務付けられていなかった。
 国宝や重要文化財に指定された建物は9割以上が全てか一部が木造で「火災の潜在的危険性が高い」(文化庁)。
 脆弱(ぜいじゃく)な建造物を守る重要なポイントは、早期発見と初期消火である。火が大きくならないうちに屋内の消火栓などで火元に直接、放水するのが効果的とされる。まずは自治体や消防、自主防災組織、所有者など関係者が既存の設備を有効に使えるよう、実践的な訓練を連携して定期的に行うことが欠かせない。
 東北で人口減少と高齢化が急速に進む。火災を覚知しても駆け付けるのに時間がかかることもあろう。人手不足に悩む自主防災組織も少なくない。
 文化庁の調査では全国の重要文化財建造物約4500棟のうち、消防法で設置が義務付けられている消火器以外に、屋内に消火栓やスプリンクラーなどの設備があるのは17%にとどまる。
 防火の担い手不足の現状を見れば、煙を感知する自動通報装置やスプリンクラーの整備を急ぎたい。中長期的な対応として、ロボットや小型無人機ドローンの技術を活用する新たな消防設備の開発も積極的に進めるべきだろう。
 文化財建造物にとっての脅威は火災だけではない。
 異常気象による水害の危険性も増していよう。地震で損壊し火が付くこともある。人為的な破壊、放火の対策も考慮しなければならない。市街地に所在する場合は周囲の建物を難燃性にしたり、広場を設けたりする施策も計画的に進める必要がある。山林からの延焼を防ぐため雑草や枯れ草の除去も求められる。
 多様な対策を着実に講じるには、住民の協力と理解が前提となる。防火・防災訓練に住民参加を働き掛ける際は、文化財の価値を学ぶ場も設けたい。貴重な遺産への愛着を育むことが強固な保護態勢づくりの基盤となろう。

2020年01月29日水曜日


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