新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は緊急事態宣言の適用を全国に拡大、一層の外出自粛が求められる事態となった。2月下旬から要請に応じてきた芸術文化・エンターテインメント業界への影響は甚大だ。活動の灯を消さないために何ができるのか、支援のあり方が模索されている。(石井那納子)
大手チケットサイト「ぴあ」傘下の「ぴあ総研」によると、新型コロナの影響による音楽や演劇などの公演中止で、3月下旬までに1750億円のチケットが払い戻しになった。この状態が5月末まで続けば、払い戻しは3300億円に上ると推計され、その規模は年間市場の約4割に上るという。
都内の舞台関係者は「うちは少ない日数ながらも公演できたし、ビデオ撮りもできた。小劇団や、完全に公演を自粛したようなところは本当に困っているのではないか」と懐事情を明かす。
文化庁の宮田亮平長官が「文化芸術の灯を消してはなりません」との声明を発表したのが3月27日。その後、政府は五月雨式に支援策を打ち出している。無利子、無担保の特別貸付制度や給付金だ。
劇団などは事業者として実質無利子、無担保の融資を受けられる。令和2年度補正予算案に計上された持続化給付金(仮称)は、「文化芸術をはじめとする幅広い業態の特殊性も踏まえ」と言及し、中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円の給付が見込まれている。
同庁のHP上にも文化芸術関係者向けの支援策一覧が掲載されている。ただ、ある舞台関係者は「うちに合う助成をどのように見つけ、また手続きをしたらいいのか分かりにくい」と話すなど、周知不足が目立っている。
ドイツでは、収入減に直面する文化施設や芸術家に対して、大規模な支援策を早期に打ち出し、注目された。3月23日には7500億ユーロ(約90兆円)に上る経済対策の一環として、500億ユーロ(約6兆円)を全産業の零細・個人事業者向けに投じると発表。当座の運営資金の提供を開始している。
フランスも緊急の文化支援策として同18日に2200万ユーロ(約26億円)の拠出を明らかにした。早稲田大学の藤井慎太郎教授(演劇学・文化政策学)は、「芸術文化の成り立ち、歴史の違いがあるので比較するのは簡単ではない」とした上で、「芸術家の当座の生活を保証することは重要で見習うべき点がある。そもそも日本では文化に対する公的助成の絶対額が小さい」と指摘する。
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April 27, 2020 at 04:58AM
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コロナ禍の芸術文化を守るため官民は何ができるか 欧州との大きな違い - SankeiBiz
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