新型コロナウイルスの感染拡大で、一時閉館を余儀なくされた芸術ホールや図書館、博物館などの公共文化施設。国内の非常事態は解除されたものの、人の密集をなお避けねばならない状況の中で、危機をはね返す試みが、県内の文化施設でも活発化している。情報ネットワークの活用を進めながら、「『生活必需品』である文化芸術の提供」を使命として推し進める、いわきアリオス(いわき市)と県立博物館(会津若松市)の取り組みを紹介する。
『家で楽しむ』テーマに
【いわきアリオス】「おうちで楽しむ、いわきアリオスはじめます!」の文字の下に、多彩なサムネイル(見本画像)が並ぶ。いわきアリオスが、新型コロナウイルスの感染拡大による生活の「不活発化」対策として、公式ウェブに開設したコーナー「おうちでアリオス」だ。
4月下旬の開設から動画や、文字と画像などで構成した読み物を着々と公開してきた。テーマはダンス、音楽、演劇、遊び、現代アートなど。現在約30件が閲覧でき、多様性と発想の新鮮さが目を引く。
配信第1弾の一つ「おうちで んまつーポス〈寝ながらエクササイズ編〉」は、室内でできる運動の入門動画だが、かなり型破り。宮崎県のダンスグループ「んまつーポス」の3人が、神妙な顔で心拍数の測り方を説明した後、いきなり、あおむけのままフリーダンスを始める。
合言葉は「目指せ(1分間の)心拍数160拍!」。寝転がった子どもが手足をじたばたする姿にも見えるが、3分続けると意外にハードだ。
同じく家でできる運動の動画が「アマビエ音頭」。人気の疫病退散妖怪を歌ったオリジナルソングに乗って、ダンサー・振付師、古家優里さんが軽快な踊りを披露する。二つの動画は、ともにアリオスが一緒に仕事をしてきたアーティストに依頼し制作された。
同館の長野隆人副館長心得は「文化芸術は、劇場などで鑑賞するだけのものではなく、自宅など日常空間にも彩りと創造の可能性を提供し、心身の健康を保つために不可欠な生活必需品」とした上で「劇場やライブハウスは3密の温床と見られがちだが、生活必需品としての文化芸術を生み出すのも劇場空間。アリオスのような公共文化施設の役割は、そんな劇場の重要性を広く伝えることでもある。活動の場を失ったアーティストたちと協力し作品を発信するのも使命」と企画の意図を話す。
アリオスが蓄積してきたコンサートや演劇、インタビューなどの映像も豊富だ。んまつーポスが出演し、いわきの人々とダンスとの出会いを撮影したドキュメント「ダンス採集」や、巨大な機材が稼働するステージ裏の解説動画といった「お宝映像」も配信され、地域の文化拠点としての底力を見せつけている。さらに「オンライン演劇部」の上演も計画中だ。
長野さんは「東日本大震災以降、災害などが続いているが『やられっぱなし』ではいられない。危機の中にいるということを意識した取り組みを考えていきたい」と話している。
忍者と恐竜...動画で活躍
【県立博物館】「わーズッキー、これは何?」。城下町のミニチュアを背景に、黒装束の忍者が尋ねると、小さな恐竜の人形が答える。「これは江戸時代の終わり頃の会津若松の町並みなんだよ」
恐竜の名前がズッキー。いわき市で化石が発見されたフタバスズキリュウにちなんだ命名だ。一方、謎の忍者はマッキー。
「ズッキー&マッキー」は、県立博物館がインターネット上に配信する動画シリーズ「こどもけんぱくちゃんねる(KKC)」で活躍するキャラクターだ。「フタバスズキリュウの食べ物は何?」「薬師如来像が左手に持っているものは何?」など、多彩な展示品を前に、ユニークなクイズを出題している。
KKCの配信は、新型コロナウイルスの感染拡大で学校が一斉休校になった3月上旬、始まった。外出もままならない子どもたちに、家庭にいても楽しく学んでもらいたい―と、博物館のスタッフが1本2分弱の動画を手作りし、フェイスブックにアップロードした。
県立博物館では、これまでも公式ウェブと、ツイッター、フェイスブックを活用し情報発信を続けてきたが、文章と動かない画像が中心。オリジナルの動画配信は今回が初めてだ。
「実は、動物の着ぐるみを着た職員が展示品について解説するなど、来館者がより楽しめる工夫は、館内では昨年から行っていたもの」と同館の広報担当、原恵理子学芸員は話す。蓄積していた「楽しく学んでもらう番組作り」的なノウハウが、臨場感を伝えやすい動画の制作と、うまく結び付いたというわけだ。
その後、県立博物館は、臨時休館となった大型連休に合わせ、高画質の動画を配信できる動画投稿サイト、ユーチューブに、チャンネルを開設し(閲覧は公式ウェブから可能)、動画の充実に踏み切った。
現在配信中の動画は「ズッキー&マッキー」のシリーズに加え、お手玉など伝統的な遊びを紹介する「おしのび殿さんぽ」、展示品を紹介する「テーマ展けんぱくの宝2020~旅によせて」の各シリーズ、計十数本で、今後も定期的に新作をアップする予定という。
原さんは「取り組みを進めるうち、動画ならではの良さが分かってきた。『けんぱくの宝』では、展示ケースの中にカメラが入り、展示品のより鮮明な映像を届けている。また、これまで年数回の企画展に集中しがちだった情報発信の対象を、常設の展示品に広げたことで、博物館の魅力の再発見にもつながっている」と、緊急事態の取り組みによって見えてきた新しい「文化発信」の手応えに力を込めた。
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June 01, 2020 at 08:16AM
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