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化粧品業界の在庫廃棄が最も深刻 消費者はブランドに透明性を求めていることが最新リポートで明らかに (PR) - WWD JAPAN.com

 RFIDソリューションの世界最大手のエイブリィ・デニソン・スマートラック(AVERY DENNISON SMARTRAC)はこのほど、化粧品・飲食・アパレル・自動車・ヘルスケア業界の300以上のグローバル企業を対象に、サプライチェーン上で発生する廃棄問題を調査したリポート「失われた1000億ドル サプライチェーンの無駄がもたらす本当のコスト」を公開した。リポートでは、サプライチェーンを横断した適切な在庫管理が利益率の改善につながるだけでなく、サステナビリティの観点からも急務であると、世界各国の先進事例と共に解説されている。

年間で約22兆円相当の
在庫が廃棄

 同リポートによると、年間で平均8%、約1630億ドル(約22兆2860億円)に相当する在庫が廃棄されていることが分かった。特に化粧品業界の在庫損失額が最も多く、年間の廃棄率は10.2%だった。内訳をみると、過剰生産(6.2%)や商品の破損・期限切れ(4.0%)が要因だ。過剰生産による廃棄は、アパレルの3.9%や、食品の2.9%と比べても高い。同社は「多くの企業が在庫欠品によって消費者が商品を購入できずに不満を抱くリスクを冒すよりも、安全策をとって在庫を増やしている。このトレードオフの結果が過剰生産であり、サプライチェーンにおける無駄の大きな原因となっている」と指摘し、課題の解決にはサプライチェーンを可視化させるIoTソリューションへの投資が不可欠であるという。リポート内では、トレーサビリティーを可視化するIoT技術の導入を進める先進企業の事例も紹介されており、具体的なソリューションの選択肢を知ることができる。

消費者間でも
透明性を求める声高まる

 コロナ禍を経て消費者の間でもサステナビリティへの関心が明らかに高まっている。価格やデザインに加えて商品の生産背景を知りたいという声も大きい。同リポートには、同社が7500人以上の消費者を対象にサステナビリティ意識と消費行動について調査した内容も盛り込まれており、廃棄在庫がもたらすコストは利益面だけでなく、消費者からの信頼の損失や地球の未来にもつながっていることを示唆する。

化粧品大手グルッポ
ボチカリオの解決策とは

 ブラジルの化粧品大手グルッポ ボチカリオ(GRUPO BOTICARIO)は、RFIDを活用して課題解決を目指す。RFIDとは、Radio Frequency Identificationの頭文字をとったもので、個別識別無線通信技術のこと。専用のリーダーで個別の商品情報を一度に大量にスキャンすることができ、在庫管理の効率化に活用されている。同社が6カ月間の実証テストを行ったところ、RFIDによって今まで顕在化していなかった半分以上の在庫切れを特定でき、在庫切れは最大97%減少した。注目すべきは、在庫管理だけでなく作業の効率化にもつながり、労働力は14%削減し全体の収益も増加したことだ。同社はこの結果をもとに、現在1つのブランドでRFIDの本格導入を進める。デジタルトランスフォーメーション&サプライチェーンシニアマネージャーのエドアルド・カワノ(Eduardo Kawano)は、「この業界にとって重要な課題は、棚にある製品の消費期限切れである。私たちは、RFIDを導入して消費期限の短い商品を店の前に並べ、最初に販売する“先入れ先出し”(期限が近いものから先に出す)モデルを採用することで廃棄物を減らすと同時に、サステナビリティの目標に貢献している」とコメントした。

サプライチェーンの透明化と
過剰生産の見直しが必須

 欧米を中心にトレーサビリティーに関する法制度も整備されてきており、企業に責任のある生産を求める動きは加速している。欧州委員会は、「循環型経済行動計画(Circular Economy Action Plan)」に基づき、消費者が買い物をする時に十分な情報を得た上で環境に配慮した選択ができるよう現行の法令を見直し、持続可能な製品のためのエコデザイン規則案ではトレーサビリティを可能にするデジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入などを要件に盛り込んだ。エイブリィ・デニソン・スマートラックが提供するデジタルプラットフォーム「アトマアイオー(atma.io)」もソリューションの1つだろう。これはRFIDやQRなどと連携し、デジタルIDをクラウド上で管理することで原材料の調達から生産、消費またはリサイクルまで追跡できる。こうしたソリューションを活用しながら商品のライフサイクルを一貫して管理することが次のサーキュラーエコノミーを前提とした新たなビジネスチャンスに気付くきっかけにもなるはずだ。

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