
熱中症のリスクを化粧品メーカーが培った顔画像を分析する技術をいかして判定し、熱中症防止につなげる実証実験が都内の建設現場で進められています。
熱中症は、気づかないうちに急激に悪化してしまうケースもあり、連日の猛暑の影響で熱中症で体調を崩したり亡くなったりするケースが相次いでいます。
こうしたなか、大手化粧品メーカーの関連会社は化粧品開発で培ってきた、肌の水分量や弾力、明るさ、表情などを分析する技術を活用しAIで熱中症リスクの判定を行うシステムを開発しました。
システムの仕組みは、まず、「睡眠不足」や「二日酔い」、「朝食を抜いたとき」や、「3時間以上運動を続けた」など、熱中症になりやすい条件の表情を1000パターン、AIに学習させます。
そして気温や湿度などを踏まえ、カメラで表情を読み込んで熱中症リスクの判定を行うというものでシステムの実証実験が各地の建設現場で行われています。
朝礼や休憩前などに使われていて熱中症リスクを3段階で判定し、「危険」を示す「赤」、「警戒」の「オレンジ」、「注意」の「黄」が表示されるほか現場責任者の端末にも通知されます。
このうち東京・大田区の工場の建設現場では28日、「危険」を示す「赤」の判定が相次いだことから、休憩をとって水分や塩分を補給する対応が取られていました。
工事現場の監督の倉上勇人さんは「人の目だけではリスクがどの程度あるか把握しきれない。AIの技術も活用しながら早めに対応ができるよう心がけたい」と話していました。
検証実験の結果を踏まえ、来年の製品化が検討されていて、「ポーラ化成工業」の開発担当、笠原薫さんは「顔の研究で分かったことを化粧品づくりのためだけでなく熱中症という大きな社会課題解決のために役立てたい」話しています。
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