『AIを活用した処方設計者の能力拡張 ~ ヒトとAIによる化粧品の共創 ~』
英文名:AI-driven formulator skill augmentation ~ Co-formulation of Human and AI for cosmetic development ~
発表者: 荒井 俊博1、大原 夏帆1、木村 勇輝1
長谷 武志2、Sathiyananthavel Mayuri 2、松岡 由希子2、谷内江 綾子2
1ポーラ化成工業㈱ フロンティアリサーチセンター、2 株式会社SBX
■発表内容概要
化粧品開発では原料同士の相性や感触のバランスを鑑みながら、目的の品質に合わせて、1000種以上の原料から最適なものを最適な量で組み合わせた処方を構築する必要があります。したがって、設計者の発想力が非常に重要になります。しかし、発想力を磨くには試作・評価の経験を何度も積むことが必要なため、非常に多くの時間を要します。
そこで、「処方設計者の発想力を効率的に磨く方法」として、AIに着目しました。囲碁やチェスの世界では、新しい打ち手など気づきを得る目的で、AIが対局相手や分析手法として活用されています。そこで処方設計者のトレーニングを可能とするため、処方を入力するだけで「出来上がりの化粧品の物性(硬さなど)や、感触(なめらかさなど)の予測」と、「設計のヒントの提示」をしてくれるAIの構築を目指し、研究を行いました。
【研究で実現したこと】
自社にて蓄積された化粧品の配合原料と製法、そして出来上がりの物性・感触の情報を用いてAIを構築し、さらにそれを評価した結果、以下の3点が可能になりました。
① AIによる分析により、出来上がりの化粧品の物性や感触に寄与する原料・製法情報を見い出すこと(補足資料1)
② 配合原料や製法の情報を分析・抽出しAIに学習させることで、出来上がりの化粧品の物性や感触を精度良く予測すること(補足資料1)
③ AIが提供する情報・予測結果の活用により、処方設計者が効率的に知識を習得し、速やかに試作を実施すること (図1)
データの特性や目的に応じ、最先端の予測技術やデータ生成技術を活用することで、処方設計者が利用可能な精度での、AIによる出来上がりの化粧品の物性や感触の予測を実現しました。さらに、本AIは製品開発での活用も始まっています。
【まとめと展望】
本研究により、化粧品処方のデータを元にAIを構築することで、処方設計者の能力拡大や効率的な開発に活用できることが分かりました。今後は、製剤の安定性などの多様な品質の予測が期待されます。
本研究では最先端のAI技術を応用し、化粧品設計の新たな手法を確立しました。ポーラ化成では、AI技術の化粧品分野での応用について、今後もさまざまな側面から研究を積み重ねていきます。
【補足資料1】 本研究におけるAIの構築と予測精度の評価
化粧品処方のデータから感触を高精度に予測できるAIを構築するためには、莫大なデータをAIに学習させる必要があります。ポーラ化成工業は長い歴史の中で、新規製法の開発を強みとして多種多様な感触をもつ化粧品を開発してきました。その中から抽出した数百種におよぶ処方データと、それらの感触データを最先端のアルゴリズム※1を用いてAIに学習させることで、感触に影響する原料を見い出し、未知の処方の感触を予測できるようになりました。次に、構築したAIで感触を正しく予測できているか検証するため、未知の処方を実際に試作したときの感触とAIの予測した感触を比べると、高い精度で一致。本AIは実験室での試作の代わりに使えると判断できました。
※1 複雑なデータセットを用いて、AIが目的の結果を予測できるようにするための方法。本研究ではXGBoostを採用。
参考)「「感触づくりAI」 を構築、化粧品開発にブレイクスルー AIとの共創で”狙い通りの感触”を速やかに実現」(2021年7月29日)http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20210729.pdf
【補足資料2】 IFSCCについて
IFSCC世界大会は、世界中の化粧品技術者・研究者にとって最も権威のある学会で、最先端の化粧品技術が披露されます。応募論文はIFSCC の厳正な審査を受け、選ばれたものだけに発表が許されます。今回は口頭で78件、ポスターではそれを上回る多数の発表が予定されています。
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