大型台風や地震など、自然災害が頻発している日本で、注目を集めているのが地中に電線を通す「無電柱化」。
昨年の台風15号では電柱が倒れたり電線が切れるなど、千葉県内を中心に停電被害が長期化した。
この事態を受け、首都圏の各自治体は無電柱化事業を加速させる方針だが、1kmあたりあたり4~5億円ともいわれる多額の費用や変圧器等が入った箱形の地上機器の置く場所などで住民の合意が得られず、無電柱化は遅々として進まないのが現状だ。
平成29年末の国土交通省の調査では、東京都で5%弱、東京都以外だと3%未満と無電柱化率は依然として低いままだ。
こうした中、官民一体となり35年前から着実に無電柱化を進めてきた自治体がある。金沢市が行う徹底した取り組みを取材した。
歴史と文化を発信するために
城下町の風情を今に残す、石川県金沢市。
ひがし茶屋街など歴史的建造物が残る観光エリアを中心に無電柱化を進めてきた。
金沢市土木局道路建設課・無電柱化推進室担当課長補佐の佐々木伸安さんは「地方都市として、この先どうやって生き残って行くかを考えた時に、この歴史と文化を磨いて世界に発信して行こうと。その為にできることの一つが無電柱化でした」と話す。
観光地だからこそ、景観を守るためにはさまざまな工夫がなされている。
民家の裏庭を市が買い取り、町の景観をなじむような形で路上変圧器・分配器を設置。
道幅が狭く地中化できない所は、軒下に配線し、カバーの色も一軒一軒の壁の色に合わせる徹底ぶりだ。
軒下配線を施した主計町(かずえまち)茶屋街では、着工の数年前から地域住民に向けたワークショップを何度も開催。
路上機器の設置場所を段ボールの模型を使って確認したり、外壁の色に合う配管の色のサンプルを提示したり、無電柱化後の姿を住民がイメージしやすい様にきめ細かい対応をしてきた。
住人は「ほとんど反対意見はなく、みんなでやろうと一致団結できた。観光客に評判が良いだけでなく、カラスや鳩の糞害も減り、町が綺麗になったとみんな満足している」と話す。
官民一体で金沢の魅力を際立たせ、災害にも強い町に変わりつつある金沢。佐々木さんは「住民の方々の理解を得るのが大事なので、少しでも安くできる方法を模索しながら、『電柱のない町 金沢』を実現したい」と意気込んだ。
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January 28, 2020 at 04:30AM
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