福島第一原子力発電所の処理水放出計画を巡る中国の不買運動が、日本の化粧品メーカーに打撃を与えようとしている。
処理水が海に放出されれば健康被害が出るという、ほとんど証明されていない主張が中国のソーシャルメディア上でトレンドになり始めた今月、ボイコットを呼びかける運動が始まった。
中国のネットユーザーは安全性が疑われるとする日本ブランドのリストを作成し始め、この問題に関するハッシュタグは中国版ツイッターと呼ばれる微博(ウェイボ)で約3億回閲覧された。
東京株式市場では、 資生堂の株価が23日終了週に6.8%下げ、約10カ月で最大の週間下落率を記録。 ポーラ・オルビスホールディングスや コーセーなど他の化粧品メーカーの株価も3%を超える週間値下がり率となった。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の佐藤和佳子シニアアナリストは今回の不買運動について、日本の高級化粧品ブランド離れを招く可能性があると指摘。
中国の景況感がそもそも悪くなっていることが「一番大きい」とし、高級化粧品の効果が実感できず、こうした不買運動は別のブランドに変えてもいいと思う「きっかけ」になると述べた。
教訓
2011年の東日本大震災に伴う津波に見舞われた福島第一原発の処理水放出計画に対し、これまでも中国や韓国などが反発してきた。特に中国は海への処理水放出を繰り返し非難している。
日本政府は、放射性物質を含む処理水は基準を下回る濃度に薄めて放出すると、放出計画の安全性について繰り返し説明。
ただ、国際ブランドは世界2位の経済大国で繰り広げられるソーシャルメディアを通じたキャンペーンを過小評価してはならないという教訓をすでに学んでいる。
資生堂と米プロクター・アンド・ギャンブル( P&G)は、自社製品は安全だとするコメントをすぐに中国で発表。P&Gは日本で人気化粧品ブランド「SKーII」を所有している。
P&Gの広報担当者はブルームバーグ・ニュースの取材に対し、SKーIIの製造現場では放射線のリスクは特定されていないと述べ、ネット上の懸念は誤情報によるものだとコメントした。
一過性
SKーIIは最近、中国で毎年開催される大規模なオンライン販売イベントで、地元ブランドに番付トップ5の座を奪われた。
また、一部のネットユーザーは、より多くの企業を対象に不買運動を進めており、最近のリストにはベビー用品や食品ブランド、さらには日本の原材料を使用している中国ブランドまで加わった。
それでも、こうした動きは一過性に過ぎないとの見方もある。
ジェフリーズ証券の宮迫光子アナリストは処理水が安全基準まで浄化されていることや、福島第一原発の近くには化粧品工場がないことに触れ、この問題が政治的な問題に発展し、中国政府による販売禁止措置が取られる可能性は低いとリポートで指摘。
「ボイコット運動が大きな勢力になるとは予想しておらず、化粧品会社の業績に悪影響を及ぼすとは考えていない」との見方を示した。
モーニングスター・リサーチのシニア株式アナリスト、ジーニー・チェン氏は日本ブランドへの影響はそれほど大きくないと分析している。
「恐らく反日的な一部の人々が、この機会に日本ブランドをボイコットするよう他の人々に影響を及ぼそうとしているのだろう」が、「最近の中国人消費者はもっとずっと洗練されていると思う」と同氏は話した。
原題: China Boycott Over Fukushima Water Release Sinks Japan Cosmetics(抜粋)
from "化粧品" - Google ニュース https://ift.tt/ZYaCWMG
via IFTTT
Bagikan Berita Ini
0 Response to "日本の化粧品メーカーに打撃か中国ネット上で福島原発巡り不買運動 - ブルームバーグ"
Post a Comment