学校内でカフェを定期的に開催する高校が増えている。教職員ではなく外部のボランティアが運営し、飲み物を手渡したり、一緒にゲームをしたりする中で生徒と緩やかに関係を築く。「校内居場所カフェ」と呼ばれる取り組みだ。
神奈川県立大和東高(同県大和市)は2017年から毎週金曜の放課後、校内の多目的ホールで「ボーダーカフェ」を始めた。
生徒はジュースやお菓子を受け取ると、おしゃべりをしたりボードゲームを囲んだりして過ごす。100人前後の利用があることも普通で午後5時の終了までいる生徒も多い。通ううちにボランティアとなじみ、自然に会話が生まれる。
「ボーダー」には自宅でも学校でもない境界の居場所という意味がある。3月まで校長を務めた熊野宏之・県立横浜栄高校長(59)は「生徒の表情がリラックスしている。安心できる空間なのだろう」と話す。コロナ禍による休校が終わればカフェも再開の予定だ。
居場所カフェは12年、大阪府立西成高(大阪市西成区)で始まった。大和東高などのカフェを運営するNPO法人パノラマの代表理事、石井正宏さん(51)によると、現在では神奈川県内の13校をはじめ全国50校前後に広がった。自治体の助成やNPOへの寄付が運営を支えている。
カフェの長所は何か。一つは生徒が抱える悩みや問題をつかむ糸口となることだ。ボランティアには教員と異なる親しみやすさがあり、生徒からは「友達に似た感覚でしゃべってくれるから話しやすい」といった声が聞かれる。学習のつまずき、就職、家庭内の問題……。打ち明けられた悩みなどは学校と共有し、支援につなぐ。中退を防ぐ効果が上がっているようだ。
生徒の人間関係が広がるメリットも大きい。個性も人生経験も多様なボランティアの中から、生徒は将来のモデルを見つけられる。「様々な仕事を持つボランティアと接する中でコミュニケーション力が身につき、職業観も学べる可能性がある」と熊野校長。
興味深いのは、石井さんがカフェの目的を「生徒たちが持つ文化のフックを増やすこと」と語っている点だ。社会で生きていくにはお金以上に知識や文化的素養が要る。それらは人とつながるすべともなり、社会から滑り落ちないためのフックの役割を果たす。かつては家庭や地域の中で多くの若者が手にできたが、今は必ずしもそうではない。
このため石井さんらはカフェの中に様々な文化を持ち込む。ウクレレを弾く、和装の着付け体験をする、鍋物を味わう……。七夕、ハロウィーン、クリスマスといった季節のイベントを企画するのもその一環だ。
居場所カフェの運営スタッフの養成講座を始める計画もある。困難を抱える10代にフックを届ける場が、今後も生まれるよう後押ししたい。(中丸亮夫)
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April 26, 2020
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